地理・歴史

日本の仏教史(2)

四条金吾殿御返事(四条第十八書)(告誡書)建治三年 五十六歳作。   御文あらあらうけ給て、長き夜のあけとをき道をかへりたるがごとし。夫仏法と申は勝負を先とし、王法と申は賞罰を本とせり。故に仏をば世雄と号し王をば自在となづけたり。中にも天竺...
般若心経

般若心経は未顕真実の権経

今の世に、般若心経の読誦や写経が流行っているが、般若心経を最高の経典と決め付け、法華経を下すのは阿鼻に堕つべき僻見である。 なぜなら般若心経が説かれた後の無量義経にまず云く_四十余年。未顕真実。〔四十余年には未だ真実を顕さず〕と。般若心経は...
経典事

方便品と寿量品について

此方便品と申は迹門の肝心也。此品には仏十如実相の法門を説て十界の衆生の成仏を明し給へば、舎利弗等は此を聞いて無明の惑を断じ真因の位に叶ふのみならず。未来華光如来と成て、成仏の覚月を離垢世界の暁の空に詠ぜり。十界の衆生の成仏の始は是也。<中略...
宗義

唱題(南無妙法蓮華経)の意義について(3)

曾谷入道殿御返事(如是我聞鈔)   建治三年 五十六歳作    妙法蓮華経一部一巻小字経、御供養のために御布施に小袖二重・鵞目十貫・並に扇百本。  文句の一に云_如是とは所聞の法体を挙ぐと。記の一に云_若し超八の如是に非ずんば安んぞ此経の所...
大乗守護

大乗こそ仏説

よく、「法華経なんかの大乗経典は後世の人の創作だ」とか言う人がいるが、この人は大罪を免れない。なぜなら、大乗経の存在を否定することは、世の菩薩の存在を否定し、衆生の仏性を否定し、一切衆生が仏に成る道を断絶させてしまうことになるからだ。もし阿...
仏法の余

末代の僧尼について

仏涅槃経に記して云く_末法には正法の者は爪上の土、謗法の者は十方の土とみえぬ。法滅尽経に云く_謗法の者は恒河沙、正法の者は一二の小石と記しおき給う。千年・五百年に一人なんども正法の者ありがたかるらん。世間の罪に依て悪道に堕ちる者は爪上の土、...
宗義

唱題(南無妙法蓮華経)の意義について(2)

四条金吾殿御返事(四条第十三書)     建治二年六月 五十五歳作     一切衆生南無妙法蓮華経と唱るより外の遊楽なきなり。経に云「衆生所遊楽」云云。此文あに自受法楽にあらずや。衆生のうちに貴殿もれ給べきや。所とは一閻浮提なり日本国は閻浮...
宗義

摂受と折伏について

夫れ摂受折伏と申す法門は水火のごとし。火は水をいとう。水は火をにくむ。摂受の者は折伏をわらう。折伏の者は摂受をかなしむ。無智悪人の国土に充満の時は摂受を前きとす。安楽行品のごとし。邪智謗法の者の多き時は折伏を前きとす。常不軽品のごとし。譬え...
念仏無間

念仏は無間地獄に堕ちること(7)

浄蓮房御書  建治元年六月 五十四歳作細美帷一送り給候畢ぬ。善導和尚と申す人は漢土に臨シと申国の人也。幼少の時密州と申す国の明勝と申す人を師とせしが、彼の僧は法華経と浄名経を尊重して、我も読誦し人をもすゝめしかば善導に此を教ゆ。善導此を習ひ...
四箇格言

四箇格言まとめ(2)

与北条弥源太書 文永五年去る月御来臨、急ぎ急ぎ御帰宅、本意無く存ぜしめ候ひ畢んぬ。  抑そも蒙古国の牒状到来の事、上一人より下万民に至るまで、驚動、極まり無し。然りと雖も、何の故なること、人、未だ之を知らず。日蓮兼ねて存じせしむる之間、既に...