宗義

本尊について

然れば当世の愚者は仏には釈迦牟尼仏を本尊と定めぬれば自然に不孝の罪脱がれ、法華経を信じぬれば不慮に謗法の科を脱れたり。『善無畏鈔』大覚世尊は我等が尊主也。先づ御本尊と定むべし。『善無畏三蔵鈔(師恩報酬鈔)』日本乃至一閻浮提一同に本門の教主釈...
地理・歴史

天竺(インド)について

玄奘三蔵の西域と申す文に天竺の国々を多く記したるに、国の習いとして不孝なる国もあり、孝の心ある国もあり。瞋恚のさかんなる国もあり、愚痴の多き国もあり。一向に小乗を用いる国もあり、一向に大乗を用いる国もあり。大小兼学する国もありとみえ侍り。又...
地理・歴史

天竺(インド)の仏教史

月氏に阿育大王と申す王をはしき。一閻浮提四分の一をたなごころ (掌)ににぎり(握)、龍王をしたがへ(随)て雨を心にまかせ、鬼神をめしつかひ(召使)給き。始は悪王なりしかども後には仏法に帰し、六万人の僧を日日に供養し、八万四千の石の塔をたて給...
仏法の余

一闡提とは

闡提とは、天竺の語、此には不信と翻す。不信とは、一切衆生悉有仏性を信ぜざるは闡提の人と見えたり。不信とは、謗法の者なり。『顕謗法鈔』凡そ謗法とは、謗仏謗僧也。三宝一体なる故也。是れ涅槃経の文也。爰を以て法華経には則断一切 世間仏種〔則ち一切...
宗義

本迹の法門(2)

委しく一代聖教の前後を検するに法華本門竝びに観心の智慧を起こさざれば円仏と成らず。 <中略> 迹門の大教起れば爾前の大教亡ぼし、本門の大教起れば迹門・爾前の亡ぼし、観心の大教起れば本迹・爾前共に亡ぼす。此れは是れ如来所説の聖教、従浅至深して...
宗義

本迹の法門

法華経の迹門は月の如く、寿量品は日の如し。寿量品の時は迹門の月未だ及ばず。何に況んや爾前の星をや。夜は星の時も月の時も衆務を作さず。夜暁て必ず衆務を作す。爾前・迹門にして猶お生死を離れ難し。本門寿量品に至りて必ず生死を離るべし。 『薬王品得...
女人

女人について

仏は女人は往生成仏すべからずと説かせ給ひけるは妄語と聞こえたり。妙法華経の文に_世尊法久後 要当説真実〔世尊は法久しゅうして後 要ず当に真実を説きたもうべし〕。妙法華経 乃至 皆是真実と申す文を以て之を思ふには女人の往生成仏決定と説かるゝ法...
仏法の余

末代の学者について

設い末代の学者為りと雖も依法不依人の義を存し、本経本論に違わば信用を加うべし。権教には学者多く実経には智者少なし。『守護国家論』 而るに今の代の世間の学者の云く 只信心計りにて解心なく南無妙法蓮華経と唱うる計りにて争でか悪趣をまぬかるべき等...
仏法の余

末法の四菩薩について

此の(地涌)千世界の大菩薩の中に四人の大聖まします。所謂、上行・無辺行・浄行・安立行なり。此の四人は虚空霊山の諸大菩薩等、眼もあわせ心もをよばず。華厳経の四菩薩・大日経の四菩薩・金剛頂経の十六大菩薩等も、此の菩薩に対すれば翳眼のものの日輪を...
宗義

地涌千界の菩薩とは

地涌千界の大菩薩大地より出来せり。釈尊に第一の御弟子とおぼしき普賢・文殊等にもにるべくもなし。華厳・方等・般若・法華経の宝塔品に来集せる大菩薩、大日経等の金剛薩こんごうさっタ等の十六の大菩薩なんども、此の菩薩に対当すれば・猴{みこう}の群中...