日本国とは

 夫れ以みれば日本国亦云く 水穂の国 亦野馬臺 又秋津嶋 又扶桑等云云。六十六国・二嶋・已上六十八ヶ国。東西三千余里、南北は不定也。此の国に五畿七道あり。と申すは山城・大和・河内・和泉・摂津等也。七道と申すは東海道十五箇国・東山道八箇国・北陸道七ヶ国・山陰道八ヶ国・山陽道八ヶ国・南海道六ヶ国・西海道十一ヶ国。亦云く 鎮西 又太宰府云云。已上此れは国也。
<中略>
 しかるに我が日本国は一閻浮提の内、月氏・漢土にもすぐれ、八幡の国にも超へたる国ぞかし。其の故は月氏の仏法は西域記等に載せられて候但七十余ヶ国也。其の余は皆外道の国也。漢土の寺は十万八千四十所なり。我が朝の山寺は十七万一千三十七所。此の国は月氏・漢土に対すれば、日本国に伊豆の大嶋を対せるがごとし。寺をかずうれば漢土・月氏にも雲泥すぎたり。かれは又大乗の国・小乗の国・大乗も権大乗の国也。此れは寺ごとに八宗十宗をならい、家々宅々に大乗を読誦す。彼の月氏・漢土等は仏法を用ゆる人は千人に一人也。此の日本国は外道一人もなし。其の上神は又第一天照太神・第二八幡大菩薩・第三は山王等三千余社。昼夜に我が国をまほり、朝夕に国家を見そなわし給ふ。

『神国王御書』

抑そも日本国はいかなる教を習ってか生死をは離るべき国ぞと勘えたるに、法華経に云く_閻浮提内。広令流布。使不断絶〔閻浮提の内に、広く流布せしめて断絶せざらしめん〕等云云。此の文の心は、法華経は南閻浮提の人のための有縁の経也。弥勒菩薩の云く ̄東方有小国 唯有大機〔東方に小国有り。唯大機のみ有り〕等云云。此の論の文の如きは、閻浮提の内にも東の小国に大乗経の機ある歟。肇公の記に云く ̄茲典有縁東北小国〔茲の典は東北の小国に有縁なり〕等云云。法華経は東北の国に縁ありとかかれたり。安然和尚の云く ̄我日本国皆信大乗〔我が日本国皆大乗を信ず〕等云云。慧心の一乗要決に云く ̄日本一州円機純一等云云。釈迦如来・弥勒菩薩・須利耶蘇摩三蔵・羅什三蔵・僧肇法師・安然和尚・慧心先徳等の心ならば、日本国は純に法華経の機也

『南条兵衛七郎殿御書』

喩伽論には「丑寅の隅に大乗妙法蓮華経の流布すべき小国ありと見えたり」。安然和尚云く「我日本国」等云云。天竺よりは丑寅の角に此日本国は当るなり。又恵心僧都の一乗要決に云く「日本一州円機純一にして朝野遠近同じく一乗に帰し、緇素、貴賎悉く成仏を期せん」云云。此文の心は日本国は京、鎌倉、筑紫、鎮西、みちをく(陸奥)、遠きも近きも法華一乗の機のみありて、上も下も、貴も賎も、持戒も破戒も、男も女も、皆おしなべて法華経にて成仏すべき国なりと云ふ文なり。譬へば昆崙山に石なく蓬莱山に毒なきがごとく、日本国は純に法華経の国なり。

『法華初心成仏鈔』

 問て云く 日本国は法華・涅槃有縁の地なりや、否や。
 答て云く 法華経第八に云く_於如来滅後。閻浮提内。広令流布。使不断絶〔如来の滅後に於て閻浮提の内に、広く流布せしめて断絶せざらしめん〕。七の巻に云く_広宣流布。於閻浮提。無令断絶〔閻浮提に広宣流布して、断絶せしむること無けん〕。涅槃経第九に云く_此大乗経典大涅槃経亦復如是。為於南方諸菩薩故当広流布〔此の大乗経典大涅槃経も亦復是の如し。南方の諸の菩薩の為の故に当に広く流布すべし〕[已上経文]。三千世界広しと雖も仏自ら法華・涅槃を以て南方流布の所と定む。南方の諸国の中に於ては、日本国は殊に法華経の流布すべき処也
 問て云く 其の証、如何。
 答て曰く 肇公の法華翻経後記に云く ̄羅什三蔵奉値須利耶蘇摩三蔵授法華経時語云 仏日西山隠遺耀照東北。茲典有縁東北諸国。汝慎伝弘〔羅什三蔵、須利耶蘇摩三蔵に値い奉りて法華経を授かる時の語に云く 仏日西山に隠れ遺耀東北を照らす。茲の典東北の諸国に有縁なり。汝、慎んで伝弘せよ〕[已上]。東北とは日本也。西南の天竺より東北の日本を指すなり。故に慧心の一乗要決に云く ̄日本一州円機純一 朝野遠近同帰一乗 緇素貴賎悉期成仏〔日本一州円機純一なり。朝野遠近同じく一乗に帰し、緇素貴賎悉く成仏を期す〕[已上]。願わくは日本国の今の世の道俗、選択集の久習を捨て、法華・涅槃の現文に依り、肇公・慧心の日本記を恃みて法華修行の安心を企てよ

『守護国家論』

日本国は一向大乗の国、大乗の中の一乗の国なり。華厳・法相・三論等の諸大乗すら猶お相応せず。何に況んや小乗の三宗をや。

『十章抄』

末法に於ては、大小権実顕密共に教のみ有りて得道無し。一閻浮提、皆謗法と為り了んぬ。逆縁の為には但妙法蓮華経の五字に限るのみ。例せば不軽品の如し。我が門弟は順縁、日本国は逆縁也

『法華取要抄』

 問て云く 天竺・震旦は外道が仏法をほろぼし、小乗が大乗をやぶるとみえたり。此の日本国もしかるべきか。
 答て云く 月支・支那には外道あり、小乗あり。此の日本国には外道なし、小乗の者なし。紀典博士等これあれども、仏法の敵となるものこれなし。小乗の三宗これあれども、彼の宗を用て生死をはなれんとおもわず。但大乗を心うる才覚とおもえり。但し、此の国には大乗の五宗のみこれあり。人々皆おもえらく、彼の宗々にして生死をはなるべしをおもう故に、あらそいも多くいできたり、又檀那の帰依も多くあるゆえに、利養の心もふかし。

『顕謗法鈔』

 日本国と申すは女人の国と申す国也。天照太神と申せし女神のつきいだし給へる島也。此の日本には男は十九億九万四千八百二十八人、女は二十九億九万四千八百三十人也。

『日眼女釈迦仏供養事』

今日本国の王臣竝びに万民には、月氏・漢土総じて一閻浮提に仏滅後二千二百二十余年之間、いまだなき大科、人ごとにあるなり。譬えば十方世界の五逆の者を一処に集めたるが如し。此の国の一切の僧は皆提婆・瞿伽利が魂を移し、国主は阿闍世王・波瑠璃王の化身也。一切の臣民は雨行大臣・月称大臣・刹陀耆利等の悪人をあつめて日本国の民となせり。

『法蓮鈔』

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